1話


 見た。

 いいですよ、これは。

 しっかりと「下手」に作ってあるのがすばらしい。

 これを実際に見る前、「『セリフが棒読みで云々』と言っている人がいるが、それはそういうことじゃなくて、自主制作映画を忠実に再現しているんだ」みたいな事が書かれてあるのを見かけて、「あー、ファンが擁護してるんかなあ」なんてことを思っていたんだけど、そんな考えは吹き飛んだ。

 ほんとに「自主制作映画の雰囲気を忠実に再現」していた。それもたぶんかなり細かいところまで。TVアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」第1話が凄い理由 | なつみかん。ということでどこいらへんが凄いのかをリストアップしているブログもあったけど、用語の意味を全然知らないので省略。

 写真とか映像とか、そっち方面に明るくないし、なにしろ自主制作映画って見たことないからさーっぱりわからんのですわ。

 まあそんな訳なので、イメージだけで見てるんだけど、かなりそれっぽく見えてしまうのが不思議。

 もうオープニングからしてぶっ飛んでいて、思わず「なにこの音痴?」と言いたくなってしまうほどのとんでもない歌なのだけど、これはわざとそういう風に歌っているのだ(と信じたい)。うまく歌うのも難しいが、下手に歌うってのもかなり難しい事なんだよね。

 この町の人たちのセリフ棒読みっぷりも、いかにもありがちな感じではあるけど、これも歌と同様、わざと棒読み風にするのは意外と難しかったりする。

 こないだあるラジオを聞いてたら、CMで、どっかの農家の人が出てきて質問に答えてるんだけど、どっからどうみてもせいs…もとい、原稿を読んでいるだけの喋りだったんよねえ。これは役者ではなく、本当にそこの農家の人なんだろう。かなりひどかった。さらに、無理してそれを自分の言葉であるかのように喋るもんだから、ひどさ倍増。あれは聞くに堪えなかった。

 たぶん台本には「失礼します」と書いてあったのに「失礼しました」と言ってしまったもんだから慌てて訂正したんだろうけど、ここまであからさまに「間違えました」と分かるように慌てちゃだめだよなあ。

 本来ならここでNGの撮り直しなんだろうけど、さっきのブログにあったけどフィルム代の関係でそのまま。これはもう映画というより演劇に近いですな。演劇はやり直しが利かないから、こんなあたふたするなんてとんでもないことでございます。

 それで商店街を走って次の肉屋に向かうわけだが、今し方胸の間に挟んだハズの給料袋が消えてしまっている。走るシーンを繰り返し、四回目に何故かその給料袋が復活している。

 もちろんこれは京アニが間違えたわけではなく、この劇中劇を作っている連中のミスだ。

 恐らくこっちのシーンを先に撮ったか、それともさっきのシーンとこのシーンとの間がだいぶ開いていたかで給料袋の存在が忘れられていたのだろう。復活したところを見ると後者かな。で、それもさっきと同じ「フィルム代」という理由で撮り直さず。いやはや細かいねえ、このアニメ…。

 実際には八百屋と肉屋の間がこんなに離れているということはないだろう。にもかかわらず、演出の意向だろうが、それだけでこんな息が上がるほど走らされるなんて…。まあ本人の体力の無さもその原因の一つだろうけど。

 プロが使っているようなレールなんてもちろんなくてハンディーで撮っているからかなり手ぶれがひどくて、役者を追い越したり遅れたり…かなりひどい。

 と、ここで突然長門ユキが現れる。ほんと突然…。まあ「戦うウエイトレス」ということだから、敵がいなけりゃ始まらないが。そういや「戦うプログラマ」や「戦うセンパイ」なんてのも居たなあ。全然関係ないけど(ちなみにBPSと究極超人R。BPSの続きは一体いつやるんだ?)。

 この長門ゆきが今回かなりのヒット。出で立ちは「いかにも」魔法使いって感じでベタなんだけど、無口なところがいい。いや、それだけじゃないけど。

 しかし、みくるの鉄砲攻撃を防ぐために出したスターリング・インフェルノとかいう棒がポチポチと揺れているのはなんでだろう。まさか本気であのBB弾をこれで受け止めてるとでも言うのだろうか!?

 それを防がれて続いて出したのがみくるビーム。まんまやんけ。

 気になるのは、なんでみくるがオッドアイなのかということ。他のシーンでは両目同じ色だったのに。本当になにかビームが出てるのかね。カメラがおかしくなってるし。

 そしてCM。

 たった今戦っていた二人が同じ画面にこうして出ているってのは異様な雰囲気である。

 さらに二人のテンションの違いがこれまた。みくるは「何か言わなきゃでも何を言おうか」と必死なのに対し、長門ゆきは後ろでプラカードを黙って持っているだけ。でも、そのじーっとしてまばたきだけしている姿が非常にかわいかったりする。

 んで、長門ゆきが再登場したと思ったら今度は肩に猫を乗っけてるし。魔法使いには使い魔が付きものだろう、っていう思いつきでいきなり登場させたんだろうけど、さっき出た時居なかったやん!

 という突っ込みを期待してのことだとは思うが。

 しかしこの猫の使えなさといったら…。長門ゆきの体に対して、猫が大きすぎやしないか。そんなだから猫が肩からずり落ちまくるし…。あまりにもずれるもんだから最終的にはずっと手で押さえるというなんとも間抜けなことに。それでも全く表情を変えないというのはみくるとの大きな違いである。でもなんで英語を直訳したようなセリフなんだか。

 自主制作映画だから通行規制もしておらず、周りの人も普通に生活しておる。だから後ろで車に乗り込む人が居たりして、本来ならばちょっとはシリアスっぽいシーンであろうにも関わらず、なんとも間抜けなシーンになってしまっている。

 そして、去っていく長門ゆきをみくるが追いかけていっているようにしか見えないシーンなどもかなりアホらしい映像だ。

 そいでまたこのこいつらを操るためにスターリング・インフェルノとかいう棒を振っている長門ゆきの姿が妙に可愛かったり。しかしこいつらやる気あるのかね。そらまあ劇中に笑いたくなることはあるっちゃあるけど、ここまでそれを抑えられないとはちとやる気を疑わざるを得ない。

 倒れたみくるが運び込まれた家にいきなり長門ゆきが登場するシーンだけど、なぜこうして片足だけ中に入れた状態で長々と喋るのか。普通に外に立ったまま喋ればいいのに。まあ、そうされたら書くことがなくなってしまうが。後ろの木から判断するとここは二階だろうし、そこに立ってるというだけでも普通ではないが。いや、魔法使いなんだから空を飛べたりするかもな。てか猫どこいった。

 長門ゆきも、落ち着いているように見えてけっこうおっちょこちょいというかドジっ娘なところがあるのかもな。「頭隠して尻隠さず」ならぬ、…。なんて言えばいいんだろう。帽子だけ丸見えだし。誰か注意してやれよ。とは言っても、注意したところで撮り直さないんだけどな。

 もうね、長門ゆきとみくる二人のバトルはもうバトルでもなんでもなくて…。お互いに相手に攻撃が全く当たっとらん。まあ長門ゆきは魔法使いだから、魔法を使えば接近しなくとも攻撃は当たるわけだが。でも何かが出ている様子は全くない。みくるに関しては完全に戦士タイプであり、直接攻撃がメインなんだろうが、にしてはこんなに離れて一体何をしているのか。

 竹藪では完全に距離を間違ってるし、滑り台の上でパンツを気にしながらキックを放ってるのはいいが、おまえどんだけ自分の足が長いと勘違いしてるんだよ、って感じだし。最後に至っては机の周りを二人で回ってるだけだし。おまえらバターになるつもりか?

 ほいで最終決戦ですか。まあこれまでまともに戦ってきたようには思えないけど。

 「とうっ」ってカメラまたいで、完全にパンツ丸見えですよあんた。いいのかこんなの。

 それにしてもこの花火攻撃ってのは一体誰が仕掛けた物なんだろうか。後ろで爆竹持って見切れ…いやもうこれ見切れてるとかそんなレベルではないけど、こいつが出しているのだとしても出した様子はなかったし、みくるにしても同様。なんだかさっぱり訳が分からない。まあそもそもこのアニメ(というか劇中劇だが)に理由を求めるのが間違っているのか。

 先生に見つかって踏み込まれるシーンを残してるのがおもろいね。これはこれまでと違ってカットすればいいだけなんじゃないの?なんか、あるんじゃないの?テープ切ってまた貼り付ける道具が。

 「今のは腹話術」ってそんな一言で片付けていいのかー長門ゆきよ?今思いっきり猫の口がセリフ通りに動いているんだけど…。さっきのみくるビームといい、この猫といい、どうも本当に「普通の世界」とは言い難いように思うんだけど、何かの伏線なんだろうか?

 最後のシーン。

 空から始まってなんかいきなり暗くなってまた戻るんだけど…。これはやっぱ露出の自動調節機能のせいなんだろうかね。空は明るいから絞りを絞るが、その下の桜並木では空と比べると暗いが絞りはそのままだから暗く映り、そして暗くなったことをカメラが感知して絞りを開く。するとこんな映像になるのかもしれない。

 超監督涼宮ハルヒ。この人あってこの映像か…。なんか納得できる気がする。でも原作である小説は読んでいない。でもこの部分だけでそう思えるってのは凄いな。うむ。

 なんかEDで長門ゆきが踊ってるよー。いや、ここではもう長門有希か。まあいいや。なんかこの劇中でのキャラとのギャップが大きくて良い。真ん中はハルヒだろうけど、右側はやっぱみくるかなあ?なんかすげー伸び伸び踊ってんですけど。

 というかこれはあくまでも劇中劇であり、普段のキャラと必ずしも一致するとは限らないが…試写会での様子を見ていると、みくるはそれほど差は無いようだ。有希も同じようなんだが…。EDのは偽者?有希ならこれぐらい普通にやってくれそうな気もするがな。

 いやはや、まだ本編も始まっとらんのだけど、次回から一体どんな話になるのやら。原作読んでないからさーっぱりわからんのです。

 京都アニメーションだから大丈夫だろうさ、って話なんだろうけど。ま、次回見たら分かるか。

 しかし長いな…読んでる人いるのかねw